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成人式に向けて振袖を調べていると、さまざまな色や柄があり、目移りして見ているだけでも楽しい気持ちになりますよね。実際に、最近の振袖にはさまざまな種類があります。振袖の柄の中でも定番と言われる古典柄はもちろん、まったく柄のない無地であったり、大花が一輪描かれたインパクトのある柄などもあります。ここでは、そんな振袖の中でも唯一無二の存在である「絞り」の振袖について紹介していきます。
目次
1-1 絞りってなに?
1-2 絞りの振袖のメリット・デメリット
1-3 プリントの絞りもあるの?
絞りの振袖とは、生地に絞り染めの加工が施されている振袖のことです。一言で「絞り」と言っても、絞りは種類や作業の工程など様々です。ここでは、まず「絞り」についてお伝えしていきます。
布地をつまんで糸で括りつけたり、器具を使って挟んだりすることで染まることを防ぎ、そのまま布地を染料で染めることで複雑な模様を作り出す技法のことを「絞り染め」と言います。絞り染めを施した振袖のことを、総称して「絞りの振袖」と呼んでいることが多いです。絞り染め特有の立体的な質感と、絞り染めでしか表現できない独特な模様は、美しく、好まれる方も多いです。特に、着物が好きな方からすると一度は袖を通してみたいと思う、憧れの着物であると言えます。
絞りの振袖のメリットは、古くから老若男女に愛される存在でありながら、人とかぶりにくいところです。絞りは、日本において室町時代から伝わる伝統的な技法です。世代を超えて、代々受け継がれている絞りの着物や振袖もあるのではないでしょうか。絞りの振袖は流行り廃りもなく、唯一無二の存在感があるため、人とかぶりたくない方にもおすすめの振袖です。また、絞りの振袖のデメリットは、ずばり「高級品」であることです。絞りは、手間暇のかかる技法であるため、江戸時代では贅沢品とされ禁止令が出されました。現代でも、総絞りの振袖というと数百万円するものもあり、取り扱っている店舗も限られています。人とかぶりにくい、という背景には、このような理由でなかなか手に入りづらい為でもあります。
金額的に厳しいけれど、絞りの振袖を着たいという方におすすめなのが、絞り染め風の振袖です。現代は、プリント絞りやしわ加工といった技術を使って、絞りの質感に似せて柄を表現している振袖があります。絞りの柄をプリントし、絞り特有の立体感や風合いを出すためにしわ加工を施しています。あくまでも絞り染め風の振袖ですので本物の絞りの振袖ではありませんが、レンタルなどで手に取りやすく人気です。
ここまで、絞りそのものについて、また絞りの振袖についてご紹介しました。ここでは、絞りの種類、それぞれの特徴や違いについてお伝えしていきます。
京鹿の子絞り(きょうかのこしぼり)とは、京都で作られている絞り染めです。染め上がりが小鹿の背中の模様に似ていることから「京鹿の子絞り」と名づけられました。鹿の子絞りは、糸の括り方や回数により、疋田絞り(ひったしぼり)や一目絞り(ひとめしぼり)などの種類に分けられます。括った粒の細かさやデザインの複雑さが、京鹿の子絞りの特徴です。
有松・鳴海絞りとは、愛知県名古屋市の有松・鳴海で作られている絞り染めです。木綿布を藍で染めたものが代表的とされる有松・鳴海絞りは、技法の数が100以上に及ぶと言われており、その種類の豊富さも特徴です。
南部絞りとは、南部地方(青森県~秋田県~岩手県にまたがる地域)の伝統的な絞り染めです。桔梗に似たムラサキという植物の紫根を使った紫根染めと、つる性植物であるアカネの根を使った茜染めの二種類に分けられます。色の濃淡の美しさや手仕事による柄の素朴さが特徴です。
総絞りとは、着物の生地全体に施されている絞りのことです。総絞りの振袖の場合、布地に手作業で一つずつ絞りを括っていきますが、ひとつの振袖につき約数万粒の絞りがあると言われています。
すべて手作業で行われ、一日に数百個から数千個しか括れないため、全て仕上がるまでに一年以上もかかります。このように総絞りの振袖は手間のかかる高級な振袖のため、購入する場合は100万円以上が相場です。
ハイクラスなデザインや上質な生地、有名な作家の作品となると金額はさらに高くなり、一千万円を超えることもあります。
テレビ等のメディアでも、時々何千万円もする総絞りの振袖が取り上げられていますが、その金額に見合う、もしくはそれ以上の価値があるということなのでしょうね。
ここまで、絞りについてさまざまな視点から解説をしてきました。ここでは、振袖専門店やレンタル店で実際に人気を誇る絞り風振袖を紹介していきます。
左肩から裾にかけて、ふんだんに絞り柄をあしらった振袖は、華やかさと品の良さのバランスが取れた一枚です。振袖の色も、ニュアンス感のある柔らかいクリーム色であることで、伝統的な中にもトレンドを意識した着こなしを叶えます。
絞り染めで作られる「辻が花」模様も、近年プリント加工やしわ加工で表現されることが多く、人気の振袖です。生地全体に柄をあしらうことで、豪華さが際立ちます。辻が花は老若男女人気がある模様であり、好感度の高い柄のひとつでもあります。
今回は、絞りの特徴や種類について、また、絞り風の振袖について紹介しました。参考になりましたでしょうか。言葉では聞いたことのある「絞り」ですが、奥深く、かつ魅力的な柄のひとつであることが伝わればうれしいです。本物の絞りの振袖には手が届かなくとも、現代の技術で絞りを表現している振袖は実際の店舗でも人気です。気になる振袖は、実際に試着をして比較・検討し、自分に似合うベストな一枚を、一生に一度の成人式に選び、大切な思い出に残しましょう。