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総絞りの振袖とは?魅力・注意点・価格相場を詳しく解説

総絞りの振袖は高級な振袖の代表格で、布地のすべてを絞り染めのみで染色しています。総絞りは数百年の歴史を持つ伝統的な染色法であり、今でも職人が手作業で制作する必要があります。高品質で上品、希少な総絞りを身につけて成人式を迎えたいと思う方も多いでしょう。

この記事では総絞りの振袖について、絞り染めの種類や魅力、購入・レンタル前に知っておきたい注意点や価格相場について詳しく解説します。総絞りの振袖を着て、思い出に残る成人式を迎えたい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

 

目次

1. そもそも総絞りの振袖とは?

1-1. 振袖の絞り染めの種類

2. 総絞りの振袖の魅力

2-1. 一目で高品質であることが分かる

2-2. 希少価値が高く他の人と被りにくい

2-3. 着心地がよく保温性が高い

3. 総絞りの振袖の注意点

3-1. 高額となりやすい

3-2. 身長160cm前後の方に向いている

3-3. 古典的な着こなしが求められる

3-4. 管理に手間がかかる

4. 総絞りの振袖の購入・レンタル価格相場

まとめ

 

1. そもそも総絞りの振袖とは?

総絞りとは、生地全体を絞り染めで染色することを指します。絞り染めとは、糸でくくる・板や木桶で挟む・縫い締めるなどの方法で生地の一部を加工し、染料が入り込まない部分に複雑な模様を表現する染色法です。絞り染めではすべての工程を機械に任せることが難しく、現在においても職人が手作業で制作します。

総絞りの振袖とは、絞り染めのみによって染色された振袖です。絞り染めの「絞り」についてより詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。

振袖の絞りって何?絞りの種類やおすすめの振袖をご紹介→

1-1. 振袖の絞り染めの種類

日本各地にはさまざまな絞り染めの技法があり、特徴や魅力が異なります。総絞りの振袖に見られる技法の代表例は、以下の通りです。

辻が花

辻が花は安土桃山時代に全盛を迎えた絞り染めで、現存する資料が少なく、「幻の染め物」とも呼ばれます。辻が花の魅力は、絞り染めによって表現される優雅かつ繊細な模様です。辻が花のモチーフは藤と椿を掛け合わせた架空の花と言われるため、季節を問わず、さまざまなイベントで着用できます。

鹿の子絞り

鹿の子絞りは江戸時代中期に全盛を迎え、高級品として愛用された絞り染めです。「鹿の子絞り」の名称は、子鹿の背中の斑点に似た立体感ある白い模様に由来します。中でも京都で生産される「京鹿の子絞り」は職人の繊細な手作業で制作される着物の象徴として広く知られ、伝統工芸品の指定も受けている逸品です。

有松絞り

有松絞りは、日本遺産の指定も受けた愛知県の有松地区に400年以上も受け継がれている絞り染めです。有松絞りには現在でも約75種類の技法があり、特有の風合いを楽しめます。

上記の他、振袖に採用される絞り染めには、藤娘絞り・おぼろ絞り・疋田絞りなどの種類があります。いずれの種類にも特有の魅力があるため、さまざまな振袖を見比べ、気に入るものを探しましょう。

2. 総絞りの振袖の魅力

総絞りの振袖にはさまざまなさまざまな魅力があるからこそ、成人式をはじめとする特別なイベントで重宝されます。総絞りの振袖の魅力を改めて確認し、門出の場面にふさわしい衣装であるかを検討しましょう。

2-1. 一目で高品質であることが分かる

総絞りの振袖は、高級和服の代表であることが多くの人に知られています。総絞りの振袖を着用すれば成人式などの会場で、「高品質な振袖を着用している」といった印象を与えられる可能性は高いでしょう。

総絞りの振袖は長い歴史を持つ和服であるからこそ、時代の変化によって簡単に価値が下がりにくいこともメリットです。丁寧にメンテナンスを行えば、自分の着用した振袖を子供や孫へも受け継げます。

2-2. 希少価値が高く他の人と被りにくい

総絞りの振袖は職人が手作業で制作するため、大量生産できません。近年では総絞りの技術を継承できる職人が減少していることもあり、希少価値が高まっている状態です。成人式に総絞りの振袖を選択できる人は少なく、他の人と被るリスクは低いでしょう。

より個性的に振袖を着こなしたい場合は、組み合わせる小物を工夫する方法が一案です。振袖とのバランスも意識して重ね衿・半衿・帯揚げなどを選択し、トータルコーディネートを行うと、周囲の人と差別化できます。

2-3. 着心地がよく保温性が高い

総絞りの振袖は模様部分に特有の凹凸があることから、身体と着物の間に空気の層が生まれます。空気の層によって保温性は高まり、寒さを感じにくいでしょう。総絞り特有の凹凸は、着崩れを防止する滑り止めとしても機能します。

また、総絞りなどの上質な和服に使用される素材は通常、正絹です。以下は、正絹素材の着物の主な特徴を示します。

・肌触りが良い

・静電気が起こりにくい

・通気性が良い

上記の他、正絹の着物は軽く、重みを感じにくい点もメリットです。成人式は長時間に及ぶ場合も多い式典であることから、正絹のように快適に着用できる振袖を選択すると安心でしょう。

3. 総絞りの振袖の注意点 

総絞りの振袖は多くのメリットがありますが、すべての人にとって最適な選択とは限りません。成人式に総絞りの振袖を着用する場合は以下の注意点を意識し、自分の希望や条件に合うかを検討しましょう。

3-1. 高額となりやすい

総絞りの振袖は手間暇かけて制作する分、プリント加工の振袖と比較して、購入費用がかさみます。「人間国宝」とも称される職人が制作した総絞りの振袖には、1,000万円以上の価値が付くケースもあるほど高額な逸品です。

ただし、総絞りの振袖は、成人式以降の重要なイベントでも着用できます。自分の子供や孫へ継承し、複数世代にわたって着用できることも考慮すると、値段への抵抗感は薄れるでしょう。

3-2. 身長160cm前後の方に向いている

自分に似合う振袖は、身長によっても変化します。一般的に総絞りは、身長160cm前後の人が着用した時、特有の美しい模様が映える振袖です。より身長が高い人は部分絞りの振袖が似合うため、総絞り以外も選択肢に含め、自分に似合う1着を探しましょう。

3-3. 古典的な着こなしが求められる

総絞りの振袖をバランスよく着こなすためには、一般的に古典的なコーディネートを行うことが推奨されます。総絞りの振袖に洋風テイストの小物を組み合わせるコーディネートは、難易度が高いでしょう。

ただし、近年では「黒の振袖に金の帯を組み合わせ、赤系の小物でアクセントを加える」など、自分に似合う個性的なコーディネートを楽しむ人も多くいます。帯のデザインや小物の色を工夫すれば総絞りの振袖がベースであっても、現代的な雰囲気に見せることは可能です。

 

3-4. 管理に手間がかかる

総絞りの振袖を長く愛用するためには、丁寧な管理が欠かせません。自宅で保管する場合は以下の点に注意し、傷みを防止する必要があります。

・たとう紙で包む

・湿気のこもりにくい部屋に置く

・定期的に陰干しする

虫食いやカビによる傷みを防止するためには、桐たんすに収納する方法が理想です。桐たんすがない場合は極力余裕があるサイズのプラスチックケースを用意し、たとう紙に包んだ振袖を収納します。

着用中に付着した汚れも、振袖を傷ませる原因です。総絞りの振袖を着用した後はハンガーに掛け、汚れの付着がないことを確認します。汚れを発見した場合には、高級振袖の扱いに慣れたプロにクリーニングを相談すると安心です。

 

4. 総絞りの振袖の購入・レンタル価格相場 

総絞りの振袖の購入費用は絞りの技法・使用する染料・ショップの選択などに応じて変化するため、画一的な相場を示すことが困難です。しかし、大まかな目安としては100万~数百万円程度以上と、安くはない費用がかかります。

予算との兼ね合いで購入が難しい場合は、レンタル振袖ショップを利用する方法も考えましょう。総絞りの振袖レンタルは、小物類を含めたセット価格で20万~50万円程度が相場です。セット価格には前撮り撮影や着付け費用が含まれている場合と含まれていない場合があるため、詳細を確認した上で予約しましょう。

ただし、総絞りの振袖は希少価値が高い上に管理の手間がかかることが理由で、取り扱いのあるショップは限定されます。成人式シーズンには人気色や注目度の高いモデルから予約が埋まり、在庫がなくなるリスクもあるため、極力早く行動すると安心です。

 

まとめ

総絞りの振袖は、生地全体を手作業で絞り染めした和服で、高品質かつ希少価値がある点が魅力です。絞り染めには複数の技法があり、辻が花や鹿の子絞り、有松絞りなどが有名です。

総絞りの振袖を成人式などに着ていく場合、高級品と一目で分かり、ほかの参加者と差を付けられます。加えて、保温性に優れており着心地がよい点もメリットです。

ただし、高価であり、身長の高い人には似合うものが少なく、古典的な着こなしが求められます。また、管理には手間がかかるため、丁寧な保管が必要です。振袖のレンタルを利用すれば、費用を抑えつつ人気の高い総絞りの振袖を成人式で身につけられます。