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日常的に着る機会の多い洋服とは異なり、振袖は成人式や結婚式といった特別なイベントでしか着る機会がありません。振袖を購入した場合、汚れやシワを残さないために、次に着るときまで正しい方法で保管する必要があります。
振袖をきれいな状態で保管するためには、振袖のたたみ方を理解しておくことが大切です。
そこで当記事では、振袖のたたみ方を解説します。たたむときの注意点とシミ・シワがつかないための保管方法もまとめているので、振袖を収納したい方は参考にしてください。
目次
振袖をたたむ手順は以下の通りです。順番通りに進めれば、初心者でも難しくありません。
1 | 左手側に衿、右手側に裾がくるように振袖を横向きに広げて置く |
2 | 手前側の下前は右脇縫い目に沿ってたたむ |
3 | 下前側の衽(おくみ)を衽線に沿って手前に折り返す |
4 | 下前の衽に上前の衽を重ね、衿先まで整える |
5 | 折り返した下前に上前が重なるように、振袖を背縫い線で二つに折る |
6 | 袖付け線で上前の袖を折り、身頃の上に重ねる |
7 | 袖付け線で上前側の袖も折って身頃の下に折りこむ |
8 | 裾を持って身頃を二つ折りにする |
振袖は最初に広げて置く必要があるので、広めの部屋でたたみましょう。ホコリや髪の毛などがつかないよう、室内をきれいに掃除しておくことも大切です。
振袖の汚れの付着を防ぐために、和紙でできた着物を収納するための専用の紙である「たとう紙」を敷いて、その上でたたむのがおすすめです。
振袖の下に着る長襦袢は、振袖と同じような形をしていますが、たたみ方は異なります。長襦袢は半衿と衿芯を外した後、以下の手順でたたみましょう。
1 | 肩山が左側、裾が右側になるように置き、裏地が見えるように広げる |
2 | 手前側に来ている下前の脇縫い線と背中心が合うように折る |
3 | 下前側の袖を折り返す |
4 | 上前の脇縫い線を背中心が合うように折る |
5 | 上前の袖を折り返す |
6 | 身頃の裾を持って衿側に二つ折りにたたむ |
シワがつかないよう、すでにある折り目に沿ってたたむことが大切です。中に着るため見えることはないものの、シワがないほうが振袖の折り目と重ならず、着姿に影響が出ません。
振袖と同じように、きれいな床でたとう紙を敷いてたたむのが理想です。
袋帯は、折り目に沿ってたたみましょう。たたむ手順は下記の通りです。
1 | シワを伸ばしながら表を下にして広げ、柄が表に来るように二つ折りにする |
2 | 半分に折る工程を2回繰り返す。折り返しに芯を入れるとよい |
折り返しに、真綿や和紙を棒状に丸めた芯を入れるとシワを防げます。
袋帯は、2枚の生地を縫い合わせて袋状になっている点が特徴で、帯の中でもっとも格式が高いとされます。表地は金糸・銀糸の刺繍や箔など豪華な模様が入っていることも多い一方、裏面は無地です。
帯のたたみ方自体は難しくないものの、振袖よりもシワがつきやすい点に注意が必要です。シワだらけにならないよう、折り目通りにたたむことを意識しましょう。
日常的に着る機会の多い洋服とは異なり、振袖を着る機会はそう多くありません。次に着るときまできれいな状態を維持するため、着用後にお手入れする際はいくつか注意すべき点があります。
ここでは、振袖をたたむ際に特に注意すべきポイントについて解説します。
振袖をたたむ前には、必ずホコリや汚れがないか確かめましょう。特にチェックするポイントは、衿・袖底・裾の3点です。
・衿
肌に直接触れるため、汗や皮脂がついている可能性がある ・袖底 振袖は袖が長いため、地面に触れて汚れることがある ・裾 歩いているときに、裾を引きずって汚れることがある |
汚れがついているときは、すみやかな対処が必要です。
半衿は汗や皮脂汚れを吸っている可能性が高いため、きれいに見えても長襦袢から外して洗いましょう。ポリエステルや木綿の半衿は自宅で洗えますが、繊細な素材である正絹の半衿はクリーニングに出すほうが安心です。
袖底や裾に泥汚れがついているときも、クリーニングに出しましょう。洋服対象の店舗ではなく、和服専門のクリーニング業者に依頼するのがおすすめです。
振袖や袋帯の表地には、豪華な刺繍や箔が入っています。こすれると傷むので、保存するときは、たとう紙や薄手の白布をあてておきましょう。
和紙・白布は通気性が高く、除湿効果もあるため、振袖にカビが生えるのを防ぎます。振袖の隙間に紙をはさむ場合は、コピー用紙のような一般的に使われている洋紙を使うのは厳禁です。通気性が高くないため、湿気が抜けずカビの原因となる可能性があります。
振袖をたたむ前は入念に手を洗い、皮脂や汚れを落とすことも大切です。たたむ前に汚れやホコリをきれいに落としても、汚れた手で振袖に触るときれいにした意味がなくなります。
手を洗った後は、ハンドクリームをつけないようにしましょう。手が荒れているときはハンドクリームを塗って保護したくなりますが、振袖をたたむ前は厳禁です。ハンドクリームは油分を多く含むため、生地につくと油性のシミになる恐れがあります。
手指が以下のような状態のときに、素手で振袖に触れることもあまりおすすめできません。
・ひび割れやあかぎれがある
・ささくれができている ・湿疹など肌荒れを起こしている |
振袖を汚したり、手の症状が悪化したりする恐れがあります。振袖をたたむときに手が上記のような状態であれば、綿の手袋をつけてからたたむとよいでしょう。
爪にジェルネイルなどを施している場合も、振袖をたたむ際に生地を引っかいて傷める恐れがあるため、綿の手袋をつけたほうが安心です。
和服は洋服以上にデリケートであり、振袖をシミやシワをつけずにきれいな状態で長持ちさせるには、適切な方法で保管する必要があります。
ここでは、振袖の適切な収納方法と注意点について解説します。
振袖を保管するときは、たとう紙に包んでから収納するのが基本です。振袖をたたんだら、きれいな状態を崩さないように、たとう紙で包みましょう。
たとう紙で振袖を包んで保管すると、以下のようなメリットがあります。
・カビの発生防止
たたんだ振袖に湿気が溜まるのを防ぎ、カビの発生を予防する ・ホコリの付着を防止 振袖を直接引き出しに入れるとホコリが付着するが、たとう紙で包むことで防げる ・シワを防止 振袖を一枚ずつたとう紙で包むことで、重ねてタンスに入れても直接接触せず、きれいな状態をキープしやすくシワ対策になる |
たとう紙の吸湿性は1~2年ほどで劣化するため、定期的に交換しましょう。
振袖を保管するときはカビや虫食いを防ぐため、湿気対策として乾燥剤や防虫剤を一緒に入れましょう。乾燥剤・防虫剤は入れる前に期限を確認し、効果が切れる時期が来たらすぐに交換します。
乾燥剤は着物用のシートタイプがおすすめです。タンクに水が溜まるタイプの除湿剤は、ふとした拍子にこぼれて振袖が濡れる恐れがあるため、あまりおすすめできません。
防虫剤も、着物用のものを使いましょう。洋風用の防虫剤を入れて振袖に接触すると、シミがついたり変色したりすることがあるため注意が必要です。
振袖はデリケートであるため、きれいな状態を保つためにたたみ方を理解しておくことが大切です。また、振袖の着姿に影響する長襦袢・袋帯についても特徴・注意点を確認し、きれいに保管できるたたみ方を確認しましょう。
振袖をたたむときは、振袖のホコリ・汚れを落とし、刺繍・箔の痛みとカビの発生を防ぐために、たとう紙または薄手の白布をあてます。油性のシミができる恐れがあるため、たたむ前にハンドクリームを使わないことも大切です。
たたんだ振袖は、ホコリの付着・シワを防止するために、たとう紙に包んで保管することをおすすめします。同時に着物用の乾燥剤・防虫剤を入れておくと、カビや虫食いも防ぐことができます。
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