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振袖と留袖・訪問着の違い|着用するときのルールとマナーも解説

2024/12/14

振袖や留袖はどちらも伝統的な着物で、結婚式をはじめ各種式典などフォーマルなシーンで着用されます。

しかし、それぞれ特徴、また着用できるシーンが異なるため、着用する場にふさわしい着物を選ぶことが大切です。

当記事では、振袖と留袖、訪問着の特徴や着用シーンなどの違いについて解説します。着用する際のルールやマナーについても紹介するため、ぜひ参考にしてください。

 

目次

1. 振袖と留袖・訪問着の違い
1-1. 振袖
1-2. 黒留袖
1-3. 色留袖
1-4. 訪問着

2. 振袖と留袖・訪問着を着用するときのルールとマナー
2-1. 振袖
2-2. 黒留袖
2-3. 色留袖
2-4. 訪問着

まとめ

 

1. 振袖と留袖・訪問着の違い

着物には、振袖や訪問着など複数の種類があります。それぞれ着用シーンが異なるため、用途に合った着物を選ぶことが大切です。

ここでは、振袖、黒留袖、色留袖、訪問着の違いについて、各着物の着用シーンや着る人の特徴を解説します。

 

1-1. 振袖

振袖は、袖丈を長めに仕上げた着物です。江戸時代から、一般的な未婚女性の第一礼装として着用されています。

成人式や結婚式のように主役として着るのみならず、格式の高い場にゲストとして参加するシーンでも着用できます。

最近は女性の社会進出による結婚の多様化も影響して、着用年齢を気にせず楽しめるようになりました。

振袖の種類は、大振袖、中振袖、小振袖の3つです。

大振袖のほうがほかの2種類よりも格が高く、袖も長くなります。具体的な袖の長さの違いは、下記の通りです。

振袖の種類 袖の長さ
大振袖 110cm前後(身長の7割程度)
中振袖 90cm前後(膝丈が目安)
小振袖 75cm前後(身長の半分程度)

大振袖は本振袖とも呼ばれており、結婚式に花嫁が着用するほか、成人式の着物としても主流となっています。

本来は五つ紋が入り、縫い合わせ部分で柄が途切れない絵羽模様のデザインが正式です。

中振袖は、大振袖の次に格式高い振袖です。結婚式など正式な場にゲストとして招待されたときに適しています。また、成人式にも着用できます。

小振袖は、堅苦しすぎないパーティーの場などに適した振袖です。袖が短い分、可愛らしい印象に仕上がります。通常は袴とセットで着用されることが多く2尺袖とも呼ばれております。

成人式の服装は振袖が人気!服装のマナーや振袖を選ぶポイントを解説

 

1-2. 黒留袖

留袖は、もっとも格式の高い着物です。黒留袖と色留袖の2種類があり、それぞれデザインも着用者も異なります。

黒留袖の特徴は、名前の通り黒色の生地で仕立てられていることです。

正式な黒留袖には五つ紋が入れられており、裾部分にのみ模様を入れたデザインが特徴です。

主に、既婚女性の第一礼装(正礼装)として着用されます。

結婚式では主役に近い立場の女性が黒留袖を着用できるため、新郎新婦の母や祖母など近い親族や、仲人夫人のための衣装となります。

結婚式の場では、両家の親族が礼装の格を揃えることが理想です。

黒留袖の着用を検討しているのであれば、事前に相手方と打ち合わせて、礼装の格を揃えておきましょう。

結婚式や披露宴以外の場では、赤ちゃんのお宮参りのときに父方の祖母が着用することもあります。

 

1-3. 色留袖

色留袖は、地色が黒以外で仕立てられている留袖全般を指します。

上半身は無地で仕上げ、裾まわりにのみ模様が入ったデザインです。

縫い目で途切れない絵羽模様を入れており、紋の有無や数によって格が決まります。
黒1色で染められた模様のないものは黒無地と呼ばれ、色留袖とは別物です。

黒留袖との大きな違いは、未婚・既婚問わず着用できることと、幅広いシーンで活躍することです。

振袖や黒留袖と異なり、色留袖は未婚者のみ・既婚者のみといった決まりがありません。

振袖を卒業した未婚女性も色留袖を着用できます。江戸時代初期には、振袖の袖部分を留めて(切って)仕立て直したものも着用されていました。

また、第一礼装としてはもちろん、紋の有無や数によっては準礼装としても着用できます。目的に合わせて五つ紋や三つ紋、一つ紋を使い分けましょう。

五つ紋の色留袖は黒留袖と同格となるため、結婚式や披露宴、祝賀会などで着用できます。

注意点は、ゲストとして結婚式に招かれている場合、主賓よりも格の高い着物を着用しないことです。

友人や知人の結婚式に招待されたときは、五つ紋の色留袖よりも、三つ紋や一つ紋のほうが参列者として適しています。

 

1-4. 訪問着

訪問着は、年齢や未婚・既婚問わず、幅広い方が着用できる準礼装です。

黒留袖のように裾部分のみ模様が入るのではなく、衿や袖なども含めた全体に一枚の絵が続いているように見える大きな絵羽模様が特徴です。

色柄を染める前に一度着物の形に仕立てて下書きを行い、染色や刺繍などの工程を行います。

模様のバリエーションも豊富で、古典柄からモダンな洋花まで用途に合わせて幅広く楽しめます。

色遣いによってさまざまな印象に変わる点も、訪問着の魅力です。

正式な場でも使用できるように紋を入れる場合もあれば、紋なしでカジュアルに着こなすこともあります。

結婚式や披露宴に招待されたときの衣装としてはもちろん、お茶会やお子さんの行事にも着用できる、用途の幅広い着物です。

 

 

2. 振袖と留袖・訪問着を着用するときのルールとマナー

着用する着物の種類ごとに、柄や小物などこまかなマナーがあります。シーンに合ったコーディネートを行うためには、着物の選び方に加えて小物の合わせ方も覚えておきましょう。

ここでは、振袖、留袖、訪問着について、選び方のルールやマナーを解説します。

 

2-1. 振袖

成人式で振袖を着用するときは、大振袖または中振袖を選びましょう。小振袖は、人によってはカジュアルな印象を与える場合があります。また、成人式で使用した振袖を卒業袴として着用しても、マナー違反にはあたりません。

振袖レンタルを手配するときの注意点は、早めに予約を入れることです。

人気のデザインは早く予約が埋まるため、手配するタイミングが遅れれば遅れるほど選べる振袖が少なくなります。成人式の2~3年前を目途に、振袖の情報収集をはじめることをおすすめします。

振袖に限らず、着物を着用するときはアクセサリーを付けないことが一般的です。

個性を出したいときは、帯の結び方や小物類の選び方を工夫しましょう。
たとえば半衿はさまざまなデザインがあり、合わせ方でデコルテ周辺の印象を大きく左右します。

座るときのマナーは、帯を潰さないように、背もたれに背中を預けないように注意して座ることが大切です。

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2-2. 黒留袖

黒留袖には、背に背紋、両袖に袖紋、両胸に抱紋と五つ紋を入れます。

購入時は入れる紋を指定する必要があるため、事前に自分の家紋を調べておきましょう。

黒留袖を選ぶときのポイントは、年齢に合わせて模様の大きさを変えることです。
黒留袖と一口に言っても、幅広く模様が入ったものから裾付近にのみデザインされているものまで、さまざまです。

50代程度を目安に、模様が小さく入ったデザインを選ぶと上品さを演出できます。

ただし身長が高い方の場合は、着用したときの印象に合わせてある程度模様のあるデザインを選んだほうが、美しく着こなせます。

 

2-3. 色留袖

色留袖を選ぶときは、紋の数と着用シーンを合わせることが大切です。

たとえばお子さんの入学式や卒業式に着用する場合、一つ紋または略礼装扱いとなる紋なしが適切です。

また、比翼仕立ての有無も着用シーンを決めるときのポイントです。

比翼仕立てとは、あらかじめ衿や袖口、裾に羽二重の白布を縫い付けておくことをさします。

比翼仕立てがあると重ね着しているように見え、結婚式に招待されたときも気軽に色留袖を着用できます。一方で、入学式や卒業式には向いていないので注意が必要です。

小物類も、色留袖の格やデザインに合わせて選びます。帯や帯揚げ、草履やバッグは、金銀の入った上品なものがおすすめです。帯は同格のほか、格上を合わせる方法もあります。

 

2-4. 訪問着

訪問着を着用するときは、シーンに合った色や模様を選ぶ必要があります。

たとえばフォーマルなイベントで着用するときは、華やかすぎず落ち着いた色合いで古典柄や吉祥文様の訪問着を選ぶと好印象です。

結婚式で着用する場合は、水色や明るい灰色、淡いピンクなど、花嫁よりも目立たない控え目な色を選びましょう。

訪問着でおしゃれを楽しみたいときは、アクセサリーではなく髪飾りで個性を出す方法がおすすめです。

真珠やべっ甲など小振りで上質な小物を合わせたヘアメイクなら、全体的に上品な装いに仕上がります。

より気軽に着物を着たいときは、訪問着よりもカジュアルな感覚で楽しめる、紋なしの色無地(黒以外で染めた無地の着物)も検討してはいかがでしょうか。

 

まとめ

着物には振袖や留袖、訪問着など複数の種類があり、振袖は袖だけを長めに仕上げた着物で一般的には未婚女性の第一礼装として着用される着物です。

留袖にも黒留袖と色留袖があり、黒留袖は黒色の生地で仕立て上げられ、結婚式では新郎新婦の母や祖母など主役に近い立場の親族が着用します。

色留袖は未婚・既婚問わず着用できるのが特徴です。

それぞれの着物には着用する際のルールやマナーもあるため、着用する前にどのようなルール・マナーがあるか理解しておくことが大切です。

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