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成人式などで着る振袖の色柄は豊富かつ華やかです。振袖を選ぶ際にどの色を選べばよいか迷う方もいるでしょう。それぞれの色や柄には、伝統的な日本の価値観に沿って意味が込められています。込められた意味を知ることで、一生に一度の成人式を迎えるにあたって、自分のイメージに合った振袖を選びやすくなります。思い出に残る成人式になるよう、意味まで考えて色柄を選ぶのがおすすめです。
この記事では振袖の色柄に込められた意味や、自分に似合う振袖の選び方について解説します。
目次
未婚女性の礼装である振袖は、豊富な色柄の種類があります。成人式などのおめでたいシーンで振袖を選ぶときには、色の意味も知った上で選ぶとより祝いごとを盛り上げられるためおすすめです。
以下では、振袖に使われる色に込められている意味について紹介します。
振袖の中でも特に人気の赤色は、太陽や血液を連想させるため、昔から生命を象徴する色として「魔除け」や「厄除け」の役割を担ってきました。
江戸時代に疱瘡や麻疹などの感染症が流行した際には、赤一色で摺られた絵を厄除けとして飾って平癒を祈願していたという歴史もあります。
また、赤色は古くから縁起のよい色として人生の節目の祝いごとで使われてきました。赤飯や入学式に使う紅白幕など、慶事の際に使用される色でもあるため、成人式などで身につける振袖の色としてふさわしい色とも言えるでしょう。
青系の色で連想する色として、日本に古く伝わる「瑠璃色」や「藍色」などが挙げられます。瑠璃色は仏教の七宝の1つである瑠璃(ラピスラズリ)の色であり、「高貴さ」や「神聖さ」の意味を持つ色です。また、藍色は武士の時代には縁起のよい色として好まれており、着物など身につけるものに多く使用されていました。
現代においても、若さを表す際に「青い」や「青春」という言葉を使うなど、みずみずしいフレッシュな様子を伝える色として青色が使われています。
桃は不老長寿を象徴する神聖な果物でもあることから、古来魔除けの色として使用されてきました。平安時代では、命をかけて都を守る衛士の服に、厄災から身を守るための「おまじない」としての意味合いを込めて桃色が採用されています。
また、万葉集や源氏物語の中では、桃色は恋を象徴する色として登場します。ピンク色を身につけることで相手にも柔らかい印象を与えるため、恋愛成就の力になる色とも言えるでしょう。
紫色は、奈良時代や平安時代においては天皇や貴族などの身分が高い人しか身につけられなかったため、「高貴さ」や「雅さ」を表現する色とされてきました。皇族などが身につける高貴な色としてのイメージから、信頼感や高級感を演出したい際に使用されるときもあります。
また、女性の魅力を最大限に引き出す紫色は、特に日本人女性の肌色に映える色とも言われています。落ち着いた大人としての品格や高級感を表現できる色でもあるため、振袖の色としても最適です。
有彩色の中でもひと際鮮やかな黄色は、幸福や活動的なイメージを持つ色と言われています。もともと注意を促す色として使われていましたが、1977年に映画「幸福の黄色いハンカチ」が公開されてからは「幸福」をイメージする人も多くなったと言われています。
また、黄色は明るく華やかなイメージから春を象徴する色とされています。振袖で黄色を着用する場合は、ポップなイメージを演出したい人は明るい黄色を、レトロに着こなしたい人はからし色などのくすんだ黄色を選ぶと良いでしょう。
白色は不純なものが混じっていないことから、清らかで無垢なイメージを持つ神聖な色として使用されてきました。日本では古くから「慶事の際には赤飯を炊いて、餅をついて振る舞う」という習慣があります。そのため、白色は赤色と同じようにおめでたい時に使う色としても知られるようになりました。
純真無垢なイメージを持つ白色は、振袖の色としても人気のある色です。ベージュ寄りの白や青みがかった白などさまざまな白色があるので、自分にあった白色を選ぶことをおすすめします。
振袖は色だけでなく、使われている柄によってもそれぞれ由来や意味が異なります。成人式などのハレの日に着る振袖を選ぶ際には、なりたい自分や未来への希望を表す意味を持った柄を選ぶと、より思い入れのある一着となるでしょう。
ここでは、特に人気の柄について解説します。
生き物の柄で人気のデザインは、以下の3つです。
・蝶
蝶の柄は、卵から幼虫、さなぎから蝶へと成長することから、古くより不老不死を象徴する柄として武士の紋章にも使用された柄です。蝶が美しく成長する過程を女性の人生に重ねて、健やかな成長を願って振袖の柄としても描かれるようになりました。 ・鶴 鶴は古くから「天と人間をつなぐ存在」と考えられており、長寿の象徴として描かれてきた柄です。また、鶴は一度つがいになると生涯相手を変えないという伝承があることから、夫婦円満の意味も込められています。 ・鳳凰 鳳凰は中国に古くから伝わる伝説の鳥で、平和と幸福を象徴すると言われています。「不老長寿」や「若返り」の意味を込めて、飛鳥時代から使われている柄です。 |
花柄で人気のデザインは、以下の3つです。
・桜
桜は、振袖の柄としてトップクラスの人気を誇る柄の1つです。春が訪れると一斉に花を咲かせることから、「豊かさ」や「子孫繁栄」の意味が込められています。日本の国花としても選ばれている桜は、オーソドックスな美しさを持つ定番の柄と言われています。 ・百合 百合は「純潔」や「無垢」といった花言葉を持つ花で、フランス王家の紋章にも使われていた高貴な柄です。大きく華やかな百合の花は、女性の晴れ着である振袖にふさわしい柄と言えるでしょう。 ・椿 椿は邪気を払うことから魔除けの意味を込めた柄で、平安時代から吉祥文様の一種として着物の柄に使われるようになりました。赤い椿の花言葉は「ひかえめな素晴らしさ」「気取らない優美さ」であり、控えめながら芯のある女性になりたい人におすすめの柄です。 |
2-3. 道具の柄
道具の柄で人気のデザインは、以下の3つです。
・御所車
平安時代に貴族の乗り物として使われた御所車は、貴族の道具であることから「高貴さ」や「雅さ」を象徴しています。御所車の中でも、あふれるほどたくさんの花を乗せた「花車」は、婚礼衣装にも使われるほど縁起のよい柄として有名です。 ・手毬 古くから女の子の遊び道具として使われていた手毬は、「女性らしさ」や「可愛らしさ」を象徴する柄と言われています。また、手毬は長い糸を使って球体に作られることから、「良縁を結ぶ」「円満な家庭を築けるように」「何事も丸く収まりますように」という願いが込められています。 ・扇 扇は、広げた姿から別名「末広(すえひろ)」と呼ばれています。「子孫繁栄」を象徴する柄で、「末広がりに縁起が良くなるように」「将来の展望が明るくなるように」という願いが込められた柄です。 |
振袖は一生の思い出となる大切な一着であるため、簡単に色や柄を決められるものではありません。色や柄などの意味を調べ、なりたい自分のイメージで振袖の柄や色を決めるのもよいでしょう。
しかし、好きな色や柄が必ずしも自分に似合うとは限りません。自分に似合う色柄の振袖を着たい人には、パーソナルカラーを活用するのもおすすめです。パーソナルカラーとは、その人の肌色やヘアカラー、瞳の色などから決まる似合う色のことで、肌色のタイプによって似合う色が異なります。
パーソナルカラーを調べる場合は、インターネットで検索して自分で調べる方法が一番簡単ですが、難しい人は振袖のレンタルショップやコスメショップ、ヘアサロンなどで診断してもらうのも可能です。事前にパーソナルカラーを調べておけば、振袖を試着した際に「思っていた感じと少し違った」「似合わなかった」ということも防げるのでおすすめです。
また、同じ白色でもベージュ寄りの白や青みがかった白があるように、微妙な色の違いによってがらりとイメージが変わるほか、帯や小物との合わせ方でも印象が異なります。こだわって振袖を選ぶ際は、特に振袖の在庫が多い成人式の2年程度前にお店に足を運び、自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。
(「成人式 服装」https://idolbyyamato.jp/blog/1736/)
振袖の色や柄には魔除け、高貴さ、幸福などのさまざまな意味が込められています。成人式は一生に一度しかないため、色や柄がどのような意味を持つのかを知った上で選ぶのがおすすめです。
ただし、振袖は微妙な色の違いや帯・小物などのアクセサリーのデザインによっても印象を変える衣装です。成人式の2年程度前であれば店舗に在庫が多く、さまざまな色柄の振袖やアクセサリーを選べるため、早めにお店に足を運んで自分にぴったりのコーディネートを探しましょう。